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西洋の地獄絵巻
2014.12.27
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▼西洋文化視察
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■こんにちは高橋です!
西欧文化理解のための旅に出ております。
春ごろにローマに行って遺跡を見学したところ。
2000年も前の文明の立派さに感銘を受けました。
2度目のイタリアに行くべく
現在シャルル・ドゴール空港で乗り換え中です。
(2015年12月26日)
■今回は北イタリアの見学
今回はフィレンツェを中心に見てまわります。
せっかくフィレンツェに行くので
当地にゆかりのある知識を得たい。
ということでダンテの神曲について調べております。
(産まれて初めてです)
とはいえ翻訳でも
読むのはしんどいと思い(憶測です)
まんがから「神曲(まんがで読破)」
小説家の阿刀田高さんによる
「やさしいダンテ<神曲>」
といった紹介本のようなものを読んでおります。
(永井豪さんの漫画もあった様子。
こちらの方が分かりやすそうですね)
■神曲それは、地獄絵巻
ざっくりしたストーリーとしては主人のダンテ(詩人)
ギリシア時代の著述家(ウェルギリウス)の霊魂のガイドに従って
地獄〜煉獄〜天国を旅すると言うものです。
■作品の中で当時の聖職の腐敗などを批判した
旅の道すがら
イタリアに縁のある人々が間過去の栄光
お金儲け、その名声にもかかわらず
地獄に落ちて阿鼻叫喚の責め苦を受けている。
この人たちと対話をする形式で
当時の権力や聖職者がキリスト教の教えから離れている。
そこへの批判を展開し、持論の研究を深める。
そんな形式になっているようです。
■政争により追われたフィレンツェへの愛憎
ダンテは若い頃、教皇と皇帝(神聖ローマ帝国:ドイツ)
の争いに巻き込まれ。
フィレンツェを追われる。
若き日のフィレンツェへの愛憎が
作品の中にも濃いとのこと。
■ヴェアトリーチェ
ダンテは、幼き頃強烈な一目惚れを体験しています。
ヴェアトリーチェという裕福な家庭の少女で美しかったようです。
ただし、家柄が大きく違い、結ばれる事はなかった。
ダンテの家はそれほど身分の高くない貴族だったのとのこと。
しかし、ダンテはこの挨拶を交わした程度の女性に純粋な愛情を抱く。
神曲の旅でもステージが高くなるにつれて
天国などはヴェアトリーチェの案内になるのです。
■ルネサンス
ダンテからルネサンスが始まった。
そう言われる位、重要な位置におかれる詩人です。
この新曲の中にもギリシャローマ神話にまつわる話が多く出てきます。
それらしい登場人物であったりエピソードがちりばめられております。
中世のキリスト教一辺倒の時代を経て
この、ギリシャローマの文化を再評価した。
これがルネサンスと言うものだった
そんな歴史的な評価がなされています。
■キリスト教とルネサンス
(一神教と多神教)
キリスト教はもともと、非常にストイックなもの
一神教で裁く神、厳しい戒律を守るイメージ。
これに対比して、ギリシャローマの神話は多神教。
非常に人間的な神々が織り成す喜怒哀楽、荒唐無稽な
ものも含まれる数々の神話の集合です。
(神は人間の認識に対して荒唐無稽、範囲を超えたものの表現でしょうか)
日本の神話にも通じるところ
親しみがわくようなところもあります。
■布教のなかで多神教要素を取り入れる
キリスト教は一神教の教え、
非常に優れた教えや奇跡で人気になる。
とはいえ、異民族教を帰依させていく。
これは、なかなか簡単ではない。
そこでキリスト教においても
マリア信仰や、いろんなタイプの聖人信仰
これらを、うまく取り入れて
多神教的な要素を持たせた。
■そして生まれる地獄絵図
教えが広まるに従い
いろんなヒーローヒ、ロイン
厳しい神だけではなく
慈愛に満ちたマリア信仰が盛んになる。
バリエーションが出てくる。
時代を経て、人の人気を得て勢力になる。
根本から枝葉に向かって多様化する。
そのうち聖なるものが俗化し
解釈をねじまげ、権力を自分の金儲けに使う。
そういうことが出てくるようです。
非常にざっくり言うと、このダンテの神曲と言うのは
フィレンツェの思いや、ヴェアトリーチェの思いが
背景に濃く持ちながら
そんな状況について、批判的な立場から解説した
キリスト教版地獄絵図というような位置にあるように思いました。
こんな知識も西洋理解のプラスになればと思います。